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『恐怖の報酬 オリジナル完全版』感想(ネタバレ)

あらすじ・キャスト・スタッフ

『恐怖の報酬』
原題:Sorcerer
1977年/アメリカ/121分

監督:ウィリアム・フリードキン
製作:ウィリアム・フリードキン
原作:ジョルジュ・アルノー
脚本:ウォロン・グリーン
撮影:ジョン・M・スティーブンス、ディック・ブッシュ
美術:ジョン・ボックス
編集:バド・スミス
音楽:タンジェリン・ドリーム

キャスト
ロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドウ、ラモン・ビエリ

あらすじ
南米の小国、ポルヴェニール。祖国を追われ、この熱帯の地に流れてきたニーロ、カッセム、マンゾン、スキャンロンの4人は、生き地獄のようなこの地を離れるため、各1万ドルの「報酬」と引き換えに、300キロ先のジャングルで発生した油井火災の消火に向かうことに。一触即発の消火用ニトログリセリンを積み、2台のトラックに分乗して旅立った男たちを、密林の果てで待ち受ける運命とは―。
公式サイトより)

 

感想

1953年のアンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督『恐怖の報酬』を1977年にウィリアム・フリードキン監督がリメイクして公開した本作。

恥ずかしながら『恐怖の報酬』は観たいと思いながらもなかなかタイミングがなく、クルーゾー版・フリードキン版ともに未見でした。

フリードキン版は興行的に失敗したため、日本での公開時は無断で30分もカットしたものを公開していたとのこと。

2018年に満を持してノーカットの「オリジナル完全版」が公開されたので、この機会に!と観に行きました。

テツコ
これまで観てなくてよかった……!

と心から思ったくらい、これは絶対に劇場で観るべき映画だし、カットして良い部分なんてなかった。

初見が完全版で幸運でした。

 

4人の男たちの生き様。なぜカットした……

南米のジャングル、反政府ゲリラによって油田が爆破される事件が起こる。

火災を鎮火させるため、1万ドルの報酬と引き換えに危険なニトログリセリン運搬を引き受けた4人の男たちの命運を描いた物語。

短縮版は観ていないのですが、この完全版では、4人の男それぞれの「事情」を描いた前半と、4人が集結してトラックでニトロを運ぶ後半の二部構成になっています。

短縮版では前半の部分が大幅にカットされたとのこと。

メキシコのホテルで男を射殺した殺し屋ニーロ

イスラエルで爆破テロを起こし、捕まる仲間の中で唯一逃れたカッセム

不正取引がバレて、さらに共同事業者に自殺され、逃げ出してきたフランスの投資家のマンゾ

アメリカの教会で強盗事件を起こしたあと、逃走中に事故を起こし仲間が全員即死、さらに殺した神父がマフィアのボスの弟だったことで命を狙われるスキャンロン

それぞれ異なる地、異なる事情で崖っぷちの4人。

この4人が1つの場所に集結し、協力してニトロを運ぶことになるのです。

テツコ
いや、長いのは分かるよ?

確かに、「一触即発のニトロをトラックで運ぶドキドキハラハラストーリー」と聞けば、冒頭から1時間もかけて人物ひとりずつを描いたパートがあるなんて思わなかったけれど。

でも、この「4人の事情」を描いたパートがあるからこそ、後半のニトロ運びパートの「後戻りできない」感じが増すんですよ。完全に必要なシーン。

いよいよ出発!となったときの「待ってました!!」という高揚感は、この1時間があったからこそのものなのです。

(そしてトラックのエンジンをかけたときに霞みがかった中でシルエットが浮かぶショットの素晴らしさ!)

 

突発的に訪れる悲劇の暴力性

この映画全体を通してなんですが、「突発的な悲劇」という演出が多かったですね。

前半だとイスラエルの爆破もそうだし、マンゾの義弟が車の中で拳銃自殺するシーン。

マンゾが義弟から背を向けて立ち去る途中で銃声が突然響く。

振り返ると、数十秒前まで話をしていた人間が自殺している。この恐ろしさ。

 

日本だと北野武黒沢清の映画に近いかなって思うんですけど、こういう前触れもなく突然人が死んだりして「あっ」となる感じ。

このやるせなさ、暴力性は私にとってすごく好みの演出なのです。

 

でも一番はラスト近くの「カッセムとマンゾの乗った車が突然パンクして崖から転落し、あっけなく爆死」シーンですね。

危機を乗り越えて少し落ち着いた2人は運転しながら和やかに会話をしてるんですけど、本当になんの前触れもなく、突然タイヤがパンク。爆発。

「えっ」と声が出そうになったし、悲劇を突然目の前に突き付けられた感じがショックでした。本当に無慈悲。

そのあと2台目のトラックが追い付いて、2人の死体を発見した時のなんとも言えない感じ……。

 

問題の「吊り橋」が絶句するカッコよさ

もうこれはわざわざ言うまでもないんですけど、言わせてほしい。

テツコ
吊り橋のシーン、ヤバすぎでしょ。。

メインビジュアルにもなってるわけだけど、この吊り橋を渡るトラックを真正面から捉えたショットがパーフェクトすぎる。

キマりすぎてていつまででも見てられる……。

 

ボロボロで今にも崩れそうな吊り橋、吹き荒れる雨風、揺れる車体……

さらに誘導のために外に出たカッセムが橋にハマって動けなくなったり。

もう「どう考えても無理だろ」っていうシーンなんですけど、もはやニトロが爆発するとかトラックが落ちるとか、そういうのじゃなく本能的な恐怖を感じるシーン。

重量をまとった揺れと音のせいでトラックがまるで怪物みたいに見えるんですよ。恐ろしすぎ。

CGなんてない時代ですよ。どうやって撮影してるのか意味不明。

むしろCGではあの緊迫感は絶対に出せないと思いますよ。

とりあえず、後半のドキドキハラハラに至るまでに必要だったドラマパートも、次から次へと襲い来る障害も、「もう後戻りはできない」っていう真に迫った感じが出てて最高でした。

テツコ
クルーゾー版も早急に観なきゃ

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