コロナウイルスによる映画館への影響
コロナウイルス終息の気配もないまま4月半ばに差し掛かろうとしていますが、皆さん元気でお過ごしでしょうか?
都内では感染者数が日々増え続け、4月7日には7都府県を対象に緊急事態宣言も出されました。
ライブやイベントは中止になり、ドラマは放送延期、映画も公開延期。
多くの施設や店舗は営業自粛に追い込まれたりと、暗い話題ばかりが目に入ります。
テツコは、映画を観に行けないストレスで死にそうです。
こんなに長い間映画館に行かないことなんてなかったのに……。
でも、そんなことより何より心配なのが映画館の経営状況です。
コロナが流行し始めの頃は、「こんな時こそ映画館の売上に貢献しなきゃ!外出自粛なんてしない!」といつも通り映画館に行っていましたが、そういうわけにはいかない事態にだんだん変わりました。
映画館の観客は確実に減りました。
そして緊急事態宣言を受けて、多くの映画館は当面の間、休業を余儀なくされました。
映画館の、特にミニシアターの経営は決して順風満帆なものではありません。
私は業界の人間ではありませんが、そのくらいは知っています。
学生時代にミニシアターでアルバイトしていましたが、余裕のある経営ではないということはバイトながらに感じていました。
それなのに、今全国の映画館はさらなる危機に陥っています。
1ヶ月の休館を決めたとして、1か月後に再開できる保証はどこにもありません。
コロナが終息してようやく外出ができるようになったとき、大好きな映画館はもうそこにはないかもしれません。
そんなの絶対にイヤです。
今まで、映画館のために自分にできることは「たくさん映画館に行く」「フードやドリンクを買う」などたくさんありました。
でも今はそれすらできない。すごく悲しくて悩みました。
ミニシアター支援のための団体「ミニシアター・エイド基金」
個人的な前置きが長くなってしまいましたが、今回はこれを紹介したいのです。Mini-Theater AID(ミニシアター・エイド)。
前述のように、「自分にできることはないのかな……」と悩んでいたちょうどそのとき、ツイッターでこんなものを目にしました。
《緊急》ミニシアター支援のためのクラウドファンディングを準備してます。自粛要請が続く中、映画業界、特に小規模映画館の経営は危機に瀕しています。映画の多様性を守るためにも数日中にCFサイトを立ち上げます。発起人(深田晃司・濱口竜介)のステートメントを添付します。 #ミニシアターエイド pic.twitter.com/KJrdOk5wFH
— Mini-Theater AID (@MiniTheaterAID) April 5, 2020
このツイートからわずか1週間あまり、本日4月13日にスタートしたこのプロジェクトは、ミニシアター支援のためのクラウドファンディングです。
発起人は、映画監督の深田晃司監督(『よこがお』『海を駆ける』)と濱口竜介監督(『寝ても覚めても』)。
そして多くの映画監督や俳優などを賛同人として有志で立ち上げたプロジェクトです。
支援を受けるミニシアターは全国68劇場(今後も増える可能性アリ)。
各劇場に150万円の支援を想定して、目標金額は1億円とされています。
クラウドファンディングのリターン
クラウドファンディングといえば、金額に応じて様々なリターンが用意されていますが、このプロジェクトではどんなリターンがあるのでしょうか。
まず、この「ミニシアター・エイド基金」では、支援の形が大きくわけて下記の2種類あります。
- 未来チケットコース
- 思いっきり応援コース
未来チケットコースを選ぶと、お礼のメッセージに加えて、リターンとして映画館で使える鑑賞チケットを受け取ることができます(後述)。
思いっきり応援コースでは、お礼のメッセージのみが届きます。
「リターンなんていらない!劇場の負担を少しでも減らしたい!ただただ支援したいんだ!」という方は、こちらを選ぶといいですね。
鑑賞チケットを受け取らない分、少しでも多く支援に充てることができます。
ただ、未来チケットコースを選んだ人は、リターンの鑑賞チケットを受け取って、さらに映画館文化を盛り上げていけばいいのです。
どちらの方が良いとか悪いとかはきっとないんだと思います。
では、その未来チケットコースで受け取れるリターンについて紹介します。
未来チケット
「未来チケット」は、参加するすべての劇場で利用できる1回鑑賞券です。
チケットは2022年末まで利用できるので、コロナが収束した後にゆっくり使えます。
あらかじめどの劇場で使うのかを指定する必要がありますが、それによって、一部の劇場に負担が集中するのを防ぎます。
※特別興行作品など一部には利用できません
パスポート
支援金額によっては、未来チケットのデラックス版である「パスポート」を利用できます。
1000円パスは、すべての劇場で1年間、映画を1000円で鑑賞できます。
フリーパスは、すべての劇場で1年間、映画を無料で鑑賞できます。
※一部利用できない劇場もあります。
配信サービス「サンクス・シアター」
ミニシアター・エイド基金オリジナルの動画配信サービス「サンクス・シアター」で、賛同監督たちが提供する激レア映画を観ることができます!
作品数は今後も増えていくみたいですが、一部を紹介すると、
深田晃司監督、濱口竜介監督、行定勲監督、山戸結希監督など人気監督の初期作品や未ソフト化作品
(濱口竜介『親密さ』とか深田晃司『歓待1.1』とか、観たくてもなかなか観られない傑作!)
人気俳優の監督作
柄本佑や染谷将太の監督作!
片渕須直監督 『この世界の片隅に』の未公開ドキュメンタリー
『カメラを止めるな!リモート大作戦!』特典映像(未公開映像&監督キャストのメッセージ動画)
などなど、超超超豪華なラインナップなのです!
(クラファンページでラインナップ一覧を見られます。)
※チケットの枚数や、サンクス・シアターで観られる作品の本数は支援金額によって異なります。
正直、支援する気なんかまーったくない人でも支援したくなっちゃうような豪華なリターンだと思います。
リターン目当てだってなんだっていいんです。
とにかく、全国のミニシアターを救うためにできることをやりましょう!
あなたがこのプロジェクトを支援すれば、あなたは映画/映画館の未来にほんのちょっと貢献することができるのです。
私は未来チケットを複数枚受け取れるコースで支援しましたが、正直この未来チケットは使わないという選択肢もあるのかなと思っています。
未来チケットを使う劇場を選択すると、自動的にその劇場には優先的に2189円が渡されるしくみになっています。(前述の、一部の劇場に負担が集中するのを防ぐため)
だから、私は実際に利用するかどうかはおいといて、支援したい劇場(地元のミニシアター、バイトしていたミニシアター)を指定しました。
いつも楽しい時間を与えてくれる場所、その地域に住んでいたときお世話になった場所、特別な体験をした思い出の場所。
ミニシアターに対してはいろんな想いがあります。
そんな私にとって大切な場所を、そしてほかの誰かにとっての大切な場所を、少しでも守るためにできることをやりたいです。
家で映画を観るのもいいけれど、便利な手段が増えるのはいいことだけれど、映画館はなくしてはいけないのです。
これは発起人の一人である深田晃司監督の言葉です。
なぜ配信隆盛のこの時代に映画館なのか。簡潔に言えば、私たち映画製作者は、映画を作るときにスクリーンに上映されることを前提に、映画館で最高のポテンシャルが発揮されるように映像も音も設計するからです。配信やテレビで鑑賞するのもかまいません。ただ、それはいわば画集のようなものです。画集はとても便利で見易いですが、だからと言って美術館が不要になるわけではありません。