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『ヘレディタリー 継承』に本物の幽霊が映っているという噂を自分なりに考察した

※この記事には『ヘレディタリー 継承』のネタバレが大いに含まれます。というかネタバレしかしてません。

 

『へレディタリー』には本物の幽霊が映っている?

『へレディタリー 継承』に本物の幽霊が映っているらしい!という噂が、公開前からSNSで話題になっていた。

問題のシーンはこちら。
物語の終盤、クライマックスのシーンに入るちょうど1つ前のシーン。

夜中に目を覚ましたピーター。
妙な気配を感じて部屋の中を見回す。
ベッドに腰掛け、窓の外に目を向けるピーター。
そのとき、ピーターの背後、暗闇の中を突然白いモヤのようなものが横切っていく
(ピーターは特にそれに反応することもない)

ところが、このカットについて『ヘレディタリー』鑑賞者の意見・感想はさまざまだった。

「あのシーンで映ったアレは本物の幽霊らしい!怖い!」

という純粋な感想もあれば、

「本物の幽霊が映っていると噂のシーンを見たけど、あからさますぎて笑ってしまった。
あれはさすがに演出でしょ(笑)」

といった類のものもあった。

それもそのはず。だってこの「白いモヤのようなもの」は、「偶然映り込んだ」というには無理があるくらいハッキリと映りすぎているのです。

だからこそ、

「本物の幽霊が映ってるらしいけどどこに映ってるのか気づかなかったよ!」

という感想もたくさん見ました。本物の幽霊なら、あんなに堂々と映ってるなんて思わないもんね。

 

アレは本物の幽霊なのか?それともただの噂にすぎないのか。

『ヘレディタリー』を2回鑑賞した私がその噂の真相を自分なりに考察し、そして1つの結論にたどり着きました。

 

本当にアレは本物の幽霊なのか?真相について考察した

まず、結論から言います。
問題のシーンで映っている「アレ」は幽霊ではありません。演出です。

もちろん、製作側がそれを断言しているというソースがあるわけではないので、これは私が考察した結果にすぎないのですが、95%確信を持って言えます。

(でもやっぱり得体のしれないものがカメラに映り込むというのはオカルト好きにとってはロマンなので、残りの5%は残しておきました)

『へレディタリー』は年間ベストに入るくらい素晴らしく、私は2回観に行きました。あと映画秘宝も読みました。
その上で、「アレは幽霊ではなく演出だ」と結論づけた経緯についてまとめてみました。

 

私が結論にいたるまでの流れ

私が結論にいたるまでの経緯は、ざっくり書くとこんな感じです。

 

①今年一番期待している『へレディタリー』に本物の幽霊が映っているという噂を聞く。

②そのことについて映画秘宝に書かれていとのことで、映画秘宝を立ち読み。
どのシーンでどんなふうに映るのかをなんとなく把握したうえで劇場へ。

『へレディタリー』1回目の鑑賞。
例のシーンを絶対に見逃すまいと集中するも、逆に見逃す方が難しいくらい想像以上にハッキリ映りすぎていて動揺。
映画の内容やその後の展開を考慮しても、「いやいやこれはどう見ても演出でしょ」と思う。

④でも映画秘宝がわざわざデマを流すはずはない。
と思い、映画秘宝を購入して文章をもう一度よく読んでみる。
ここで自分の間違いに気づく(後述)。

⑤『へレディタリー』2回目の鑑賞。
さらに注意してそのシーンを見て、やっぱりこれは演出だったんだと確信(後述)。

 

ポイント①映画秘宝1月号の記載について

そもそもこの噂、出所はどこなんだろうと気になったんですよ。
まあ噂なんてものはどこから出てくるか分からないし、尾びれがついて広まるなんてことも珍しくないのですが。

まず公式(製作サイドや配給会社など)が言及しているわけではなさそう
そのような情報はざっと探した感じ見つかりませんでした。
(1回目の鑑賞のあとパンフレットを買って読んだけど、そこにも書かれてなかった)

そして、この「本物の幽霊が映っている」という件について公の場で言及しているのが、どうやら映画秘宝だけらしいと判断したのです。

この映画秘宝1月号が発売されたのは、『へレディタリー』公開の約1週間前、11月21日。
見開き2ページを使って問題のシーンを再現したイラストが描かれ、1ページ分に収まるほどの短めの文章が添えられていた。
(北原功士さんという人が描いた、なかなか素敵なイラストでした。カラーで贅沢。)

その文章には、映画ライターのYさんが『へレディタリー』試写の際に「アレ」を目撃したという内容が書かれていた。

おそらくこれが「『へレディタリー』に幽霊が映っている」説の根源なんだろう、と思いました。

内容としては、

映画ライターのYさんが、『へレディタリー』の試写で、あるシーンにおいて「白いひらひらしたもの」が映り込んでいるのを見つけた。
それを配給会社の担当Mさんに伝える。
Mさんは検証用にDVDを持ち帰り、問題のシーンを再生。
確かに変なものが映っているが、これをパソコンに取り込もうとするとその部分はノイズになってしまう。
編集の段階で気づかなかったのだろうか。

ということが書かれているんです。

これだけの情報だと、「予定にはなかったものが映っていることに、スタッフが試写で気づく」みたいな、『女優霊』的な話に聞こえますよね。

でも、1回目の鑑賞を終えてもう一度よくよく読んでみると、私の解釈が間違っていたことに気づいたのです。

1回目は立ち読みだったんでちゃんと読んでなかったんですけど、実は文章の最後の方にこんなことが書いてありました。

Mさんは、監督のアリ・アスターが「恐怖を煽るために緻密な演出をする人」であると認めている。
普通のホラー映画であれば、この白い物体が映り込んだときに何か効果音がつくはずだ。
だがこのシーンには効果音がない。

「アリ・アスターは恐怖を煽るために緻密な演出をする」
確かに、「アレ」が映ったとき、何の効果音もないし登場人物のリアクションもないんですよ。
アレを目撃してるのは観客だけなんですね。だからこそ不気味なんだけど。
それが、監督による「緻密な演出」である。
そう書いてあるように読み取れる……というかそうとしか読めない。

ただ、この文章を読んで「スタッフも気づかなかったものが映っている」という内容だと誤解してしまうのも仕方ない。

なぜなら、「本物の幽霊だ」とも「演出だ」とも断定されていない、かなりあいまいな書き方なんですね。

映画秘宝がどういう意図であの文章を載せたのかはわかりませんが、個人的は「やられたなあ」という感じで楽しかったです。
勝手に勘違いしたのはこっちだしね。

 

ポイント②実は映像にもヒントがあった

ということで、「ああアレは演出だったんだな」と自分の中で結論づけました。
じゃあアレは一体なんだったのかという話なんですが、おそらく母親のアニーでしょうね。

あの白い物体は、何か空中をヒラヒラと舞うような人間とは思えない動きをしているんですが、あの時点でアニーの肉体は人間を超越したものになっていたと見て間違いない。
リビングのシーンでは高いところの壁に張り付いてたり、その後も何かと重力に逆らった動きをしてるので。
(「幽霊」と表現していいのかは分からないけれど)

 

そして、その前提で2回目の鑑賞に行きました。
2回目なので、どのタイミングであのシーンが出てくるかもう分かってるわけじゃないですか。
それで、気づいたのです。

テツコ
……あれっ?

アレが映る少し前のカットに、実はアニーが映ってたんですよ。

ベッドに腰掛けるピーターの右後方にある天井の角。
観客にとってはスクリーンの左上ですね。
そこに、うっすらと白いものが見えるんだけど、それがおそらくアニーなんじゃないかと思うんです。

初見だとまず気づかないレベルです。ピントは合ってないし、明確に人の形をしてるわけでもない。
でもどうして私がそれをアニーだと思ったのかと言うと、そのあとのリビングのシーンでアニーが天井近くの壁に張り付いてるカットとまったく同じような構図だったからです。

あのシーン(めちゃ怖い)を思い出してみてください。
あれとまったく同じ構図が、ピーターの部屋で既に出てきてたんですよ。
2回目なのであのシーンが頭にあったからこそ気づけました。

そして、その白いものがアニーだとしたら、本物の幽霊と言われていたアレがアニーだという説明もつくんですよ。
ひらひら動いていくアレは、直前のカットでその「アニーと思われる白いものが映っていた方向」から「ピーターの部屋の扉の方向」に進んでるんです。
アニーがピーターの部屋から階下のリビングに移動したと考えるとすごく自然です。

この「アレ」の直前のカットについて言及されているのを見たことがないので、私の勘違いかな?とも思ったんだけど、そこはやっぱり「緻密な演出」をするアリ・アスターのこと。
観客すら気づかないような演出を入れていてもおかしくないです。

そもそも、リビングでの「背後のアニー」だって、ピント送り(これもヤバイ演出)がなければ気づかないレベルにひっそりしてたしね。

 

「アレ」は本物の幽霊ではなく「緻密な演出」

以上のことから、あのシーンで映っていた白い「アレ」は、本物の幽霊が映り込んだものではなく、母親アニーが横切る演出だったのだと私は判断しました。

ただ、私が色々なことを考えて出した結論なので、正しいかどうかはわかりません。
この検証結果を信じるかどうかはお任せします。

そして、アレが演出だったとして、それはめちゃくちゃ怖い演出だなと思いました。
「演出……なのか?」というレベルで、アレが何なのか初見ではよくわからない。
だからこそすごく不気味。

このクライマックスのシーンにおける「わけがわからないけど怖い」というエッセンスを最大限に引き出してると思います。

 

 

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テツコ
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