映画におけるPOV(Point of view)とは、主観ショットのこと。
第三者としてカメラが登場人物をとらえるのではなく、登場人物自身の視点とカメラの視点が一致している手法を指します。
まるで自分自身が登場人物になったかのような、映画の世界により深く入り込めるリアリティーや没入感を味わうことができます。
今回は、そんなPOVの手法を用いて撮られた映画をご紹介したいと思います!
おすすめPOV映画10選
ブレア・ウィッチ・プロジェクト
監督:ダニエル・マイリック、エドゥアルド・サンチェス
キャスト:ヘザー・ドナヒュー、マイケル・C・ウィリアムズ、ジョシュア・レナード など
あらすじ
モンゴメリー・カレッジの生徒、ヘザー、ジョシュ、マイク。3人は大学の課題のため、バーキッツヴィルに残る伝説“ブレア・ウィッチ(ブレアの魔女)”についてのドキュメンタリー・フィルムの撮影を始める。共同墓地で最初のシーンを撮り終えた3人は、地元の人々にインタビューを開始。彼らは、程度の差こそあれブレア・ウィッチについて聞いたことがあった。翌日、インタビューを終えた3人はブラック・ヒルズの森に入っていく。(映画.comより)
ある森で3人の大学生が失踪し、あとには彼らが撮影していたドキュメンタリーのテープだけが残されていた。そのテープの内容が映画になっています。
この作品は元祖POV作品と言われている作品。
今でこそPOVやモキュメンタリーは主流な演出手法になりつつありますが、当時の人にとっては新鮮で、低予算映画にもかかわらず口コミで爆発的ヒットを起こしました。
派手な展開や脅かしはないですが、わけのわからないものにじわじわ追い詰められていく不安感がリアルです。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を視聴できる動画配信サービス一覧
エビデンス-全滅-
監督:オラントゥンデ・オスンサンミ
キャスト:スティーブ・モイヤー、ラダ・ミッチェル、トーレイ・デビート など
あらすじ
映画制作を夢見る女性2人組が、ラスベガスを目指してバスに乗り込む。ところが、道中の砂漠地帯で鉄仮面姿の殺人鬼がバスを襲撃し、乗客たちは巨大バーナーで生きたまま焼き殺されてしまう。捜査に乗り出した2人の刑事は、被害者が撮影した犯行の証拠映像を手がかりに犯人を特定しようとするが……。(映画.comより)
殺人事件の被害者が残したビデオテープを見ながら犯人の手掛かりを探すというストーリー。
殺人鬼ホラー・スラッシャー映画でありながら、謎解きのミステリー要素もあって、感情移入しながら楽しめます。
至る所に巧妙な伏線が張られていて、まんまと罠にハマッてしまいます。
V/H/S シリーズ
『V/H/S シンドローム』
監督:デビッド・ブルックナー、グレン・マクウェイド、ラジオ・サイレンス、ジョー・スワンバーグ、タイ・ウェスト
キャスト:カルビン・リーダー、レイン・ヒューズ、ケンタッカー・オードリー など
あらすじ
ある人物から1本のビデオテープを盗み出すよう依頼されたゲイリー、ザック、ロックス、ブラッドの4人の不良グループは、指示された古い一軒家に忍び込み、そこで大量のVHSテープと一体の死体を見つける。戸惑いながらも目的のテープを探すため1本1本再生していくが、そこには想像を絶する恐ろしい映像が収められていた(映画.comより)
様々ないわくつきのビデオテープを再生していくというPOVオムニバス作品。
短いエピソード4~5本から成るのでとても観やすいです。
内容は、ホラーというよりはスプラッター系が多め。
カロリー高めなグロ描写満載なので、スプラッター映画好きは必見です。
『V/H/S シンドローム』と2作目『V/H/S ネクストレベル』があります。
個人的には『ネクストレベル』の『A RIDE IN THE PARK』(Go Proを利用したゾンビ視点おいかけっこ)と『SAFE HAVEN』(阿鼻叫喚地獄の宗教ホラー)が好きですね。
『V/H/S シンドローム』を視聴できる動画配信サービス一覧
『V/H/S ネクストレベル』を視聴できる動画配信サービス一覧
ある優しき殺人者の記録
監督:白石晃士
キャスト:ヨン・ジェウク、キム・コッピ、葵つかさ など
あらすじ
韓国の障害者施設から、18人が犠牲となった連続猟奇殺人事件の容疑者の男が脱走する。その後、男から電話で呼び出された韓国人女性ジャーナリストは、いまはは廃屋となっているマンションである映像を見つける。そこには、男の独白とともに衝撃的な映像が収められていた。(映画.comより)
ジャーナリストに自分を記録するように指示する連続殺人鬼。
選ばれた27人を殺せば、子供の頃に死んだ幼馴染を生き返らせることができるというのです。
なかなか狂った設定ですが、だんだんこの殺人鬼に感情移入してしまう自分がいます。
この作品のすごいところは、85分ワンカット(風)にしているところ。
そしてラスト10分は、予想もできないような怒涛の展開が待っています。
カメラを止めるな!
監督:上田慎一郎
キャスト:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ など
あらすじ
とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けるが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していき……。(映画.comより)
低予算ながら口コミで爆発的大ヒットを記録したことも記憶に新しいですね。
ネタバレ厳禁なので、予備知識を入れずにぜひ観てください。
クロニクル
監督:ジョシュ・トランク
キャスト:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダン など
あらすじ
超能力を手にした高校生たちが、その力に翻弄されていく姿をファウンドフッテージ形式で描いたSFアクション。平凡で退屈な日常生活を送る3人の高校生アンドリュー、マット、スティーブは、ある日、特殊な能力に目覚める。手を触れずに女子のスカートをめくったり、雲の上まで飛んでアメフトをしたり、3人は手に入れた力を使って刺激的な遊びに夢中になっていく。しかし、そんなある時、あおってきた後続車両にいら立ったアンドリューが力を使って事故にあわせたことから、3人は次第に自らの力に翻弄され、事態は予期せぬ方向へと発展していく。(映画.comより)
ある日超能力が使えるようになった高校生3人がその日常をビデオに記録するのですが、だんだんと大変なことになっていき……。
「超能力」といえば派手なアクションを想像するかもしれませんが、誇張した演出はなく淡々とビデオカメラに映し出されているので、妙にリアリティがあるんですよね。
多くは語りませんが、『AKIRA』好きは必ず観てください。
奴隷の島、消えた人々
監督:イ・ジスン
キャスト:パク・ヒョジュ、ペ・ソンウ、イ・ヒョヌク など
あらすじ
天然塩の名産地として知られる離島で大量殺人事件が発生した。さらに、塩を生産する塩田や関連施設で、違法に人身売買された知的障害者たちが奴隷のように働かされていたというショッキングな事実が明らかになる。その噂をいち早く聞きつけ、事件発覚前から島を訪れていたテレビ局の女性記者ヘリは意識不明の重体となり、後輩カメラマンのソクフンも殺害されていたが、やがて行方不明になっていたはずの取材テープが発見され、驚くべき真実が判明する。(映画.comより)
離島で起こった殺人事件の真実が、ジャーナリストが残した取材テープから明らかになっていく。
もうね、韓国の田舎ホラーにはハズレがないんですよ。
閉鎖された空間で露わになる人間の本性、陰湿さ。
最初は淡々と取材が進みますが、後半からは怒涛の展開が待ち受けています。
ハードコア
監督:イリヤ・ナイシュラー
キャスト:シャルト・コプリー、ヘイリー・ベネット、ダニーラ・コズロフスキー など
あらすじ
サイボーグ化された男性が愛する妻を救うべく壮絶な戦いに身を投じる姿を、主人公の一人称視点のみで描いた新感覚アクション。見知らぬ研究施設で目を覚ましたヘンリー。彼の身体は事故によって激しく損傷しており、妻と名乗る女性エステルによって機械の腕と脚が取り付けられる。さらに声帯を取り戻す手術に取り掛かろうとした時、施設を謎の組織が襲撃。脱出を試みたもののエステルをさらわれてしまったヘンリーは、超人的な身体能力を駆使して救出に向かう。(映画.comより)
全編にわたって「主人公の視点」だけが使われ、サイボーグ化した主人公の戦いを描いた作品。
とにかく銃撃戦、アクションの連続で、終始FPSゲームのような状態。
まるで自分が敵をやっつけているかのような爽快感があります。
画面酔い注意。
コンジアム
監督:チョン・ボムシク
キャスト:イ・スンウク、ウィ・ハジュン、パク・ジヒョン など
あらすじ
YouTubeで恐怖動画を配信する人気チャンネル「ホラータイムズ」が一般参加者を募り、数々の都市伝説を生んだ心霊スポットであるコンジアム精神病院からのライブ中継を計画する。主宰者ハジュンを隊長とする7人の男女は、いくつものカメラやドローン、電磁検出器といった機材を持ち込み、深夜0時に探索を開始。ハジュンが仕掛けた演出も功を奏し、サイトへのアクセス数は順調に伸びていくが、次第にハジュンの想定を超えた怪現象が次々と起こり始める。(映画.comより)
若者が心霊スポットに忍び込んで動画配信するというPOV。
王道のジェットコースター系絶叫ホラーです。
動画配信という今っぽいフォーマットを利用しているところが新鮮ですね。
とにかく臨場感がスゴくてリアリティがあります。
search サーチ
監督:アニーシュ・チャガンティ
キャスト:ジョン・チョウ、デブラ・メッシング、ジョセフ・リー など
あらすじ
物語がすべてパソコンの画面上を捉えた映像で進行していくサスペンススリラー。16歳の女子高生マーゴットが突然姿を消し、行方不明事件として捜査が開始されるが、家出なのか誘拐なのかが判明しないまま37時間が経過する。娘の無事を信じたい父親のデビッドは、マーゴットのPCにログインして、Instagram、Facebook、Twitterといった娘が登録しているSNSにアクセスを試みる。だがそこには、いつも明るくて活発だったはずの娘とは別人の、デビッドの知らないマーゴットの姿が映し出されていた。(映画.comより)
失踪した娘の手掛かりを探すためにSNSやメールをチェックする父親の様子を、「パソコンの画面だけ」の映像で描いた斬新な作品。
画面収録みたいな感じで進み、カメラという概念がないのでPOVと言えるのかはわかりませんが、主人公の男性が見ているパソコンの画面を自分も見ているリアリティがスゴイです。
パソコンの中から娘の失踪の手掛かりを探していくのですが、至る所に伏線があって、だんだん謎が解けていく様子にドキドキします。
これはテレビよりもパソコンで観た方が楽しいのではないでしょうか?